ヴィンテージマンションのリノベーション2 スケルトン
既存の住戸をフルリフォームする場合、最初に行なう工事が解体・スケルトン化です。 スケルトンにする場合は、中途半端に残すよりは、思い切ってすべて撤去してしまったほうが、 お薦めです。なぜなら
1 既存の施工状況を確認することができる
三田綱町パークマンションでは、スケルトンにした状態で、管理会社、顧問設計事務所など専門チームの立会検査があり、躯体の施工不良や劣化に関して、補修してもらうことになっています。かなりしっかりとした保守・管理体制と言えます。
(またこの建物は、設計時に構造評定を取得していることが評価され、東京都から「耐震診断済(耐震基準適合)」マークを取得しています。)
関係者による既存躯体のチェック、不良箇所は元施工会社(鹿島建設)により補修が行なわれます。
その他にも完成までに数回の検査が義務づけられています。
三田綱町パークマンションでは、スケルトンにした場合、水廻りの床には防水を施す事が規約として決まっています。
その他の床の細かなクラックにもコーキングを行ないます。細部までしっかりした改修マニュアルがあります。
2 既存の設備を一新できる
20~40年経過した設備配管は、大規模な改修を機に一新しておいたほうが、安心です。
三田綱町パークマンションでは、空調用の冷温水の配管にステンレス配管が指定されています。しかし、断熱も含め更新するだけで数百万かかります。現在は、他に性能の優れた配管材があるので、管理会社に提案し、保温材付金属強化ポリエチレン管を採用しました。結果的にコストを大きく圧縮することもできました。(こういったルールブックに縛られない提案力が建築家ならではの仕事です。)また窓側の青い材料は断熱材で、床下に隠れる部分も結露防止に断熱を行ないました。
3 自由に計画できる
スケルトンにした場合、全く新たにプランを作る事ができます。既存のプランの不満点は、「主寝室にリビングから入る」「玄関が暗い」「キッチンが閉鎖的」「水廻りに余裕がない」といった点でした。新たなプランでは完全にプランを考え直し、それらすべてを解消しています。
また、昔からの大切な品物を再利用できるのも、ヴィンテージマンション・リフォームの魅力です。今回の改修では、木の皮を使った貴重な家具の扉とグリーンオニキスの大理石を保存し、再利用しました。