







ヴィンテージマンションのリノベーション
日本初の高層マンションに、新たな命を
|日本初の高層マンションを現代に継ぐ
本計画は、港区に建つ日本初の高層マンションのスケルトン・リノベーションです。
元の建物は、霞ヶ関ビルと同じく鹿島建設の設計チームにより設計され、歴史的価値を持つヴィンテージマンションです。
改修にあたっては、既存建築の持つ良さを最大限引き出すことを重視しました。
|光と連続性をもたらす空間構成
水廻りのレイアウトを変更し、玄関からリビングの光をガラスブロック越しに感じられる構成としています。
廊下にもガラスブロックを用いて空間の連続性を高め、ハーフサイズをランダムに挿入することで、視覚的に柔らかさと動きを加えました。
また、柱や廊下の突き当たりにはミラーを効果的に用い、開放感を演出しています。
|素材とディテールの追求
リビングや廊下にはイタリアンスタッコを、天井や個室の壁には有明産の貝灰漆喰を採用し、室内環境にも配慮しました。
家具にはウォールナット無垢材とコールテン鋼を組み合わせ、質感とシャープさを両立させています。
既存住戸の玄関に使われていた希少なイタリア製の木の皮の突き板や、大理石なども再利用し、建築の記憶を空間に織り込んでいます。
|世界に類を見ない空調システム
この建物では水冷式の産業用チラーによる空調が義務づけられていたため、家庭用製品として地中熱ヒートポンプを特別に導入し、地熱の代わりに冷却塔の冷却水を熱源とする実験的なシステムを採用しました。
個別改修におけるこの方式の導入は、世界でも類を見ない非常にユニークな事例です。
|快適性と環境性能の両立
室内の断熱性を高めるため、既存のサッシは活かしながら、真空ガラスにすべて交換しました。
開放感を損なうことなく、環境性能を大幅に向上させています。
|建築家によるリノベーションの力
本計画では、デザインや素材選定にとどまらず、エネルギー提案や古材の再利用まで含めて設計を行いました。
「ルールブックに捉われない発想」で、住まいの新たな可能性を提示する建築家ならではのリノベーションです。