ヴィンテージマンションのリノベーション3 遮音

ヴィンテージマンションの弱点として、遮音性を挙げられます。今回行った対策をまとめます。

|遮音について

ヴィンテージマンションのように古い建物は、概して床の厚さが薄く、遮音性が現在の建物より劣ります。
三田綱町パークマンションでは、吸音材+防振2重床(置き床)、居室のカーペット仕上が指定されています。

|置き床について

置き床はゴム付きの脚の上に床下地を作る製品が主流です。遮音等級などに基づき製品を選択します。今回は床下にグラスウールを敷設するタイプのものを選択しました。

しかし、それでも施工の仕方が悪いと効果があまりありません。

置き床の仕組みは、躯体と床下地を分離し、床の振動を躯体に伝えないことです。そこで重要になるのが壁との納まりです。
壁と床の取り合い部分は、通常は際根太といわれる材料により固定します。しかし、この際根太を使用すると、振動が躯体に伝播し置き床の意味がなくなってしまいます。この問題を避けるために、際根太の代わりにシステム根太を使用し、置き床と躯体が接しないようにする必要があります。
せっかく費用をかけ防振対策をしても、効果を発揮できなければ意味がありません。これは、しっかりと監理が必要なポイントになります。

三田綱町パークマンション・リフォーム 壁と床

(システム根太。置き床の外周部はこの材料に固定し、躯体と縁を切ります。)

|逆梁について

三田綱町パークマンション・リフォーム 逆梁 三田綱町パークマンション・リフォーム 逆梁

三田綱町パークマンションでは、居室の中央部に逆梁が通っています。逆梁部は、床懐がなく置き床も設置できません。
しかし、居室の中央部なので、遮音のためには重要な部分です。

三田綱町パークマンション・リフォーム 逆梁

今回の改修では、逆梁の左右にシステム根太を通し、逆梁の上に若干のクリアランスを確保して、下地合板を渡します。しかし合板が宙に浮いた状態では強度的に不足します。モルタルなどを充填するのが通常ですが、それでは遮音性が大きく損なわれてしまいます。

三田綱町パークマンション・リフォーム 逆梁 三田綱町パークマンション・リフォーム 逆梁

そこで、合板に適宜穴を空け、その穴から逆梁と合板の隙間に発泡ウレタンを充填しました。こうすることで振動の伝達を抑える事ができ、施工も容易です。

こういった部分は見えなくなる部分ですが大切です。デザインだけでなく、性能を高めるために建築家がリフォームに携わるメリットは大きいと思います。

三田綱町パークマンション・リフォーム システム根太