絨毯スピーカーからSYRINXへ
最初に高解像度な音に興味をもったのはクリプトンのKS-1 HQMを手に入れてからでした。
PC用のスピーカーとしては、DACを内蔵し、他の高級なスピーカー群に比べても、繊細さやバランスの良さが際立って良く満足していました。
しかし、ふとしたきっかけで絨毯スピーカーを創ってみたとき、KS-1 HQMを含め、従来のスピーカーとはレベルの異なる解像度と立体感あふれる音を体験し、戻れなくなりました。 特にクラシックなど、音の溢れる楽曲を再生したときの次元の異なる透明感は、箱形のスピーカーで実現不可能だと思われます。
共振のない絨毯スピーカーは、従来の概念を超えるクリアな音を実現した画期的な発明です。しかし、その優れた音質の一方、低音の音量が課題で、ネットで検索しても、同様の評価が多く見られます。
そこで、検証を繰り返し、絨毯スピーカーの低音が弱い根本的な理由は、低音のブーストの問題でなく、逆相音だと気づきました。そもそも絨毯を含め柔らかい素材は軽いので、かなりの量の音を透過させます。絨毯を巻いただけでは側面から音が漏れます。また絨毯の上に直接ユニットを載せているので、その隙間からも逆相音が漏れます。特に低音は吸音されにくく、回折しやすいため、ユニットの音と打ち消し合い弱くなります。また音の漏れは音の濁りの原因にもなります。
この絨毯スピーカーの問題を解決し、これまで存在するあらゆるスピーカーより優れた音を創りだすことがSYRINXの開発目標となりました。
ヒントになったのは、建築の知識です。防音室は、まず、共振のない遮音材で囲み、その内側に吸音材を貼付けます。こうすることで、音を漏らさず内部に反射し、吸音材により反響を防いでいます。
SYRINXのスキンエンクロージャーは、同じ構造です。共振のない柔軟な遮音材で、音の透過を防ぎます。内部に反射した音は、速やかに吸音し、吸音できなかった音も、柔軟なエンクロージャーが音を発生させないので影響がほとんどありません。
あわせてマウント面からの音漏れ対策も丁寧に行ないました。
特許を出願したこれらの技術によりSYRINXは、これまでのスピーカーの概念を超越した音を再現します。
「逆相音」「残響」「共振」「共鳴」をここまでなくしたスピーカーは、かつて存在しなかったと思います。
こうして、余計な音が一切しない、音声信号を正確に再現する、究極のスピーカーが誕生しました。