Rolleiflex3.5F/ローライフレックス3.5F type4
私の愛用カメラを紹介します。第1台目はローライフレックスです。
ローライ社が2眼レフを世に出したのは1928年。現行モデルもあり、密かな愛用者も多い歴史のあるカメラである。
2眼レフカメラの見てすぐわかる特徴は、レンズが上下に2つあること。下のレンズが撮影用のテイクレンズ、上のレンズがプレビュー用ビューレンズとなる。ビューレンズから入射した光は、カメラ上部のマット面で、フイルムと同サイズの56mmx56mmのサイズの像を結ぶ。いってみればファインダー用に大きなレンズがもう1つ付いた贅沢な仕様といえる。
写真のフォーマットは正方形で、建築を撮るのには悩まされるが、構図が決まればプロポーションのよい、引き締まった画像となる。
内部の構造は、精緻を極める。そのすべての機能がメカで構成される。電子技術の進んだ現在ではありえない、実に贅沢な、技を尽くした造りである。
といっても、このカメラ、大きくて重い。普段持ち歩くのは苦痛である。やはり利便性、経済性、実用性を追求すると現実的な選択肢はデジタルカメラへと収束する。実際、使う機会は圧倒的にデジカメの方が多い。それでもこのカメラを使い続ける理由とはなんであろう?
結論から言ってしまえば、愉しいのである。撮影時は、ちょうどおじぎするような姿勢で、ピントフードを覗き込む。そこに広がる美しい画像は、ファインダーというより、むしろ1枚の絵を眺める感覚に近い。それまで1眼レフカメラを使っていた私にとって、これは衝撃的な体験だった。愉しくて、ついついいろんな方向にカメラを向けてしまう。
ツアイスレンズによる中判サイズのポジの仕上がりの美しさも、やはり35mmカメラとは比べものにならない。シャッターを切る手応えと「コト」という小さな音。フイルムを巻くクランクの感覚。ダイアルのクリック感。とにかく小気味良い。ミラーショックの大きい1眼レフカメラや、フェイクのシャッター音の鳴るデジカメでは味わうことはできない。操作とメカニズムと機能、すべてがリアルな手応えとして感じられる。
普段、CADやCGを操り、バーチャルな世界に浸っていると、その反動だろうか、なおさらこの本物志向が快感となる。とにかく、写真の仕上がりはもちろん、撮影するという行為自体を愉しむことができるカメラである。