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雪下紅梅

紅を包む、雪のレイヤー

|SPIN、日本での復活に寄せて

本作は、フリッツハンセンの2007年に廃盤となったチェア「SPIN」の日本での復活を記念し、展覧会のためにデザインした特別なカバリングです。
日本ならではの視点から、この椅子に新たな命を吹き込むことを試みました。

|「雪下紅梅」に込めた美意識

タイトルの「雪下紅梅(せっかこうばい)」とは、十二単の襲の色目の一つであり、雪の下に咲く紅梅を表現しています。
厳しい寒さの中に春の兆しを感じさせる、力強くも儚い日本の自然観を、椅子の表現に重ねました。

|紅を包む、4層の白いレース

カバリングは、濃い紅色の生地を、薄く柔らかなレース4枚で包む構成としました。
白の重なりの中にうっすらと紅が透ける様子は、まるで雪の下で息づく紅梅のように、繊細な美しさと強さを同時に宿しています。

|色に映る感情、時代を超える感性

平安の時代から受け継がれてきた、日本独自の色彩感覚と情緒の表現。
「SPIN」にまとうこの「しつらえ」は、自然の移ろいとそこに宿る心情を色で表す、日本の美意識そのものです。