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革巻き絨毯スピーカー 1 ショート

レザースピーカーショートバージョン

「syrinx」試作5号「革巻き絨毯スピーカー」が完成しました。

【スペック】

  • スピーカーユニット ALPAIRE7 v3(試作1号からの移植)
  • 筒長 300mm
  • 筒径 φ=138mm
  • エンクロージャー 牛本革 t=4.0mm
  • ベース ステンレスバイブレーション t=3.0mm

【スピーカーユニット】

ALPAIR7は最初は低音が出ないのですが、エイジングが進むにつれてもりもり出るようになります。今回は半年程エイジング済みのユニットと換装しました。低音が不足する場合は、部屋の角に置くとかなり改善します。

【筒長】

転倒しないように30cmの高さとしました。子供対策です。
低音はこの長さでも底部のステンレスのベースとエイジング済みのALPAIR7のおかげで十分出ています。

【筒径】

今回はバッフル板は設けず直径13cmのユニットに厚革をそのまま巻きました。バッフル板による付帯音をなくし点音源に近づけるためです。

【エンクロージャー】

4mmの牛本革を使用しています。スピーカーユニットを固定するために、伸縮性のない厚めの革にしました。内側まで染まっている芯通しの革なので断面も綺麗です。

ソフトエンクロージャーの素材に関してですが、これまでの経験から、下記の3つが重要なポイントとなることがわかりました。

  • 吸音・・・気柱共鳴を弱め、中高音を減衰させつつ低音を残す。
  • 遮音・・・軽く薄い素材は音が横から音漏れしやすい。気密性があり内部損失が大きいほうがよい。
  • 共振・・・エンクロージャーはわずかな残響が大きく影響する。ソフトな素材ほど共振しない。硬いと共振・気柱共鳴しやすくなる。

しかし、よく吸音する柔らかい材料は音漏れしやすく、気密性が高く遮音性の良い素材は、固く気柱共鳴・共振しやすくなります。

その点、絨毯は吸音・遮音・共振のすべてを満たす理想的な素材です。毛足があることで内部損失が非常に大きい。遮音性もあり、巻き数を増やすことで音がしっかりとします。

今回使用した本革は、縦横無尽に絡み合う繊維が凝縮され内部損失が大きい素材です。気密性も高く、適度な重さをもちます。あまり吸音しないので単体ではエンクロージャーに向きませんが、吸音性の高い素材と組み合わせれば、理想的なソフトエンクロージャーとなる可能性があります。

本革巻き

【ベース】

ベースは3mm厚のステンレスバイブレーションの円盤を採用しました。ベース下の空間は、中高音を低減し、低音のバランスをとるための重要な部分です。今回は約6mmほどの隙間にしています。
隙間を設けず密閉式にすると音が少し籠ります。下から空気が抜けた方が絨毯スピーカーらしい伸びやかなクリアな音になります。
しかし、隙間が大きいと中高音が漏れやすくなるので、ある程度狭くしたほうがよいです。
円盤の大きさも低音に影響します。

ステンレスの下台

【音】

革と組み合わせる吸音材の選定に苦労しました。普通の絨毯では足りず、結果としては、マイクロファイバーでできた柔らかいシャギーラグが最もよく、クリアな音で30cmという短さを忘れる音がします。
今回は音はもちろん、合理的な構造と素材感・デザインにこだわりました。

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