佐藤宏尚建築デザイン事務所

三田綱町パークマンション
東京都港区三田2-3-34

|DATA

|AWARD

|関連記事

|CONCEPT

港区のヴィンテージマンション「三田綱町パークマンション」のスケルトン・リノベーション。元の建物を設計したのは霞ヶ関ビルと同じ鹿島建設の設計チームで、日本初の高層マンションである。

改修にあたっては、元の建築の良さを最大限引き出せるようにした。

まず水廻りのレイアウトを変更し、玄関に入ると正面にガラスブロック越しにリビングの光を感じるようにしている。廊下もガラスブロックによりリビングと柔らかに連続する繋がりのある空間とした。ガラスブロックの積み方も、ハーフサイズをランダムに挿入し、単調で堅くならないように工夫している。
また角の柱や廊下の突き当たりなどアイストップに効果的にミラーを用い、開放感や連続性を高めた。

リビング・廊下の壁面の素材はイタリアンスタッコ、天井および個室の壁は、室内環境に配慮し、有明産の貝灰漆喰を採用した。
家具はウォールナットの無垢を用い、コールテン鋼と組み合わせ質感とシャープさを追求している。

このようなヴィンテージマンションでは、設備システムが古い場合が多い。本マンションも水冷式の産業用チラーを用いた空調システムが義務づけられている。しかし、このような一般家庭で使用すると様々な問題がある。本件では、家庭用製品である地中熱ヒートポンプを設置し、地熱に替わってクーリーングタワーの冷却水を熱源とする冷房方式を実験的に採用した。マンションの個別改修で地熱ヒートポンプを採用するのは、おそらく世界に類のないユニークな事例である。
空調の効果を高めるため居室の断熱性も高めた。硝子は、既存サッシをそのまま活かせる真空硝子にすべて交換し、開放性は損なわず、環境性能を高めている。

玄関や主寝室のベッドボードは、既存の住戸の玄関に使われていた希少なイタリア製の木の皮の突き板で、その他、イタリア産大理石など貴重な材料は無駄にせずに再利用を心がけた。
デザインだけでなく、ルールブックに捉われないエネルギーにまで及ぶ提案や古材の再利用は、建築家が手掛けるリノベーションならではだろう。